兎話〜rabbit rider story〜7号兎編。〔悪うさぎのうわさ〕

ーズで先祖代々何かと評判の悪い白夜光一族は、その巨体にして、畑は荒らすわ、酒は飲むわ、人かじるわ、言う事きかないわで、とんでもないウサギでした。
彼らはそれはもう美しい、フワフワの真っ白な毛並みを持っていたこともあり、数多の猟師が駆除も兼ねて毛皮を持ち帰ってやろうと参じたものですが、皆、凶暴な白夜光の返り討ちにあって逃げ帰ってきたそうです。一説にはあれはウサギなんかじゃなく白熊だった、という猟師もいましたが、白夜光はまぎれもなくウサギなのです。ただ、少し普通よりも大きいだけで。


しかし、そんなだらしなく どうしようもないように思える彼ら一族が本気を出したときの瞬発速度だけは、全国の兎ファンを思わずうならす天下に誇れる速さを持っているといいます。

  当然その速さに目をつけた過去の兎乗りたちは、こぞって白夜光を探し出し、性格の悪さも我慢して、なんとかパートナーにこぎつけることができたライダーも何人かいました。けれどいざ、彼らと競争兎としてレースに出場し好成績を残した兎ライダーは誰ひとりとしていた試しがありませんでした。

世の大半の兎がそうであるように 白夜光は輪をかけて、あまりに人の言うことを聞かないし、気分屋で好き勝手なことばかりする兎なのです。

 しかし、それ以前に いくらバランス感覚を兼ね備えた兎ライダーといえど、常人の生半可な三半規管では白夜光の荒っぽい強靭なスピード、揺れについていくことが出来なかったのも事実なのでした。

 

そして いつしか彼らに乗るライダーは居なくなり、乗ろうとするライダーも居なくなり、探し出そうとする者が居なくなり、噂は伝説と変わりつつあります。

それでも全国各地でたまに畑と酒屋の被害が報告されながら、彼らはどこかの森で気ままに暮らしているようです。

「私は一度でいいから、いつか白夜光を乗りこなすライダーを見たいものだよ。」

兎ファンであるオヤジはポツリと言いました。


 

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